新型コロナウイルスの真実
新型コロナウイルスの正体は、SARS様コロナウイルス、
言い換えれば2代目SARSなのだ。

   update Dec.23,2020


もくじ

新型コロナウイルス
の正体
 
 コロナウイルス
の系統樹
コロナウイルスとは  新型コロナウイルスのウイルス名  SARSウイルスの特徴
SARSウイルス感染症
 Contents にもどる
新型コロナウイルス
の受容体
新型コロナウイルス
の起源
 
新型コロナウイルスと
風邪コロナウイルスの
遺伝子配列の違い 
 イギリスでの変異株
キメラウイルスと
マンメイドウイルス
 
 


中華人民共和国での感染発症後の経過

2019年12月  中華人民共和国の湖北省武漢市で、SARSに似た呼吸器症状の感染者が12月8日に最初に報告されています。
 12月30日、眼科医の李文亮氏が、武漢市でSARSの症状に似た症状をきたす新しいウイルス感染症が発生しているとSNSで報告していました。

中国メディアの報道①  中国の検索サイトで調べると、「2019年12月8日に武漢市は原因不明のウイルス性肺炎に感染した患者を初めて確認した。その後も原因不明の肺炎の症例は増えている」とする中国メディアの報道が確認できるようです
中国メディアの報道②  12月30日に「原因不明の肺炎に関する緊急通知」と題する武漢市衛生当局が出した文章が街中に出回ったとする情報がネット上で確認できたとのことです。
2020年1月  
中国メディアの報道③  1月9日に武漢市で多発している原因不明の肺炎が、新型コロナウイルスによるものと判断されたと報じられています。
最初の症例が報告されてから1か月が経過しています。
 1月20日に、習近平国家主席が初めてウイルスの蔓延を阻止するように指示を出したとのことです。そして1月23日に武漢市が封鎖されましたが、その時にはすでに500万人の武漢市民が、武漢市を脱出したあとだったようです。
 その後1月25日に春節が始まり、ウイルスは世界中に拡散することになりました。


日本での中国からの報告後の対応および経過

2020年1月  厚労省のホームページの報道発表資料では、1月6日に初めて中国の武漢市での原因不明の肺炎が発生したと記載されています。それによるとヒト-ヒト感染の明らかな証拠はないと中国政府のウソの報告をそのまま記載しています。

 中国政府は12月8日に武漢市で発生した感染症に対し、正しい情報を隠ぺいしており、世界中に正確な情報を提供しなかったのです。

 
こうして厚労省は中国政府に騙されたまま、1月24日に「新型コロナウイルス感染症の現状からは、中国国内では人から人への感染は認められるものの、我が国では人から人への持続的感染は認められていません。」とのコメントを発表しています。


新型コロナウイルスの正体


2020年2月  正確な情報が得られないまま、日常の診療を行っていましたが、感染者を診る際のストレスは計り知れないものでした。

 当初、このウイルスは全く得体のしれないウイルスだと思っていました。

 正確な情報が手に入らないかネットを徘徊していました。すると、武漢の研究者たちが世界で初めて新型コロナウイルスについてNatureに投稿した論文を見つけました。見つけて読んだのが8月27日でした。ただし、論文は2月3日に公開されています。

 そのタイトルは次の通りです。『A new coronavirus associated with human respiratory disease in China』
Nature volume 579pages265-269(2020)

 それには衝撃的な事実が記載されていました。

 原文は次の通り:in S gene,WHCV was most closely related to the bat coronavirus SL-CoVZC45 with 82.3% amino acid identity (and around 77.2% amino acid identity to SARS-CoV).

 
 ここでは新型コロナウイルスは、そのSプロテイン部分がSARSウイルスと77.2%類似していると記載されています。

 下のFig.1の図は、この論文に示されている、WHCV=新型コロナウイルスとコウモリのSARS様コロナウイルス=Bat SL-CoVZC45というウイルス、一番下がSARSウイルスのトロント株=SARS-CoV Tor2の遺伝子配列のシェーマを示しています。
下図をクリックすると大きな図が見れます、ただし元に戻るときはブラウザで戻って下さい。

 下図を見ると新型コロナウイルスの遺伝子の配列が、SARSウイルスにとても似ているのが解ります。
 
 WHCV 
  Bat SL-CoVZC45  
SARS-CoV Tor2  
 
 
 


 もう一つ重要な論文が、同じ2月3日にNatureで公開されました。武漢のBSL4レベル(エボラウイルスの研究ができる)の研究ができる、武漢の研究所からの投稿です。★この研究所は2022年頃証拠隠滅のため閉鎖されたようです。
 それはその研究所の所長Shi Zheng Li(石正麗)らによる投稿です。
 タイトルは 『A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin』 というものでした。
Nature 579pages270-273(2020)
 
 この論文では、新型コロナウイルスが上記と同様にコウモリのSARS様コロナウイルスと96%遺伝子配列が同等だと言いたかったようですが、SARSウイルスと79.6%基本的な遺伝子配列が同じだと記載しています。

これら2つの論文から分かったことは、新型コロナウイルスとは、ウイルスの本体がSARSウイルスだと言うことでした
   
   
   


新型コロナウイルスの正体
その2 Dec.10,2020に追加

 
 2020年1月   数日前にNatureのC国の論文より早く公開された論文があるのを知り、昨日12月9日に読みました。
 
 Nature同様、かなり有名な科学雑誌Lancetに1月29日に公開されていました。
 タイトルは「Genomic characterisation and epidemiology of 2019 novel coronavirus: implications for virus origins and receptor binding」

 
Lancet Vol 395 February 22, 2020

 
これは北京の大学、山東省の大学がメインで行った精査で、武漢で発生した9名の感染者からの検体を利用したものでした。うち8名のみが有効な所見が得られたようです。


 これによると、どうも国家主席に近いロケーションの大学等ですので、中央政府とはかなりの近い位置にある研究機関だと推測されます。

 メインのテーマは、検体が得られたのは武漢の市場の8名の職員、他に1名は一般人、得られた所見からはSARSとはちがい、キクガシラコウモリ(雲南省に生息しています)などが感染しているSARS様コロナウイルスと同じ遺伝子だから、SARSではないと断言しています。

 
SARSではないのは当たり前ですが、こうした論調によって、SARSが関係ないかのような印象を与えたいようです。


 上の表は新型コロナウイルスと全ての遺伝子エリアの遺伝子配列をBat-SLCoVZC45(これはNatureの最初の論文にも出てきたウイルスです。)SL=SARS likeの略で、コウモリのSARS様コロナウイルスZC45というウイルスという意味です。

 その下の欄もコウモリのSARS様コロナウイルスZXC21というウイルスです。

 一番下がSARSウイルスです。


 この表によると、ウイルスのそれぞれの遺伝子エリア(gene region) の比較を示されています。本文にはこの解説はないんです。SARSのことなんてどうでもよかったんですね。と妄想します。


 
新型コロナウイルスは、全体の遺伝子配列がSARSウイルスと79.6%同じだと言われています

 
ORFやSタンパク、Eタンパク、Mタンパク、Nタンパクそれぞれの遺伝子の似ている割合が記載されています。

 
これを見たら、新型コロナウイルスはSARS様コロナウイルスそれもSARSの親戚だと言うことが改めて理解できました。


 
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コロナウイルスの系統樹 その1 Dec.11,2020に追加

    コロナウイルスでも今回の新型コロナウイルスに関連するウイルスは、いわゆるSARS様コロナウイルスがかかわってきます。

 上記のC国のNature等によると、
新型コロナウイルスはSARS様コロナウイルスの仲間です。

 左に示された図は
系統樹と言われてるもので、発生学的な根拠を示すものだと思います。


 この図は2月3日にオンラインでNatureで公開された
Nature volume 579pages265-269(2020)からの引用です。

 この系統樹はORF1a部分の遺伝子配列を主体にして考えられた系統樹です。

 
論文に出てる系統樹は、ま、想像の世界かなあって気がします。


 この図で気になるのが、
Sarbecovirusの数の多さです。

 
SarbecovirusとはSARS様コロナウイルスのことです。ここには本物のSARSウイルス3種類も含めて、36種類のSARS様コロナウイルスがこの世に存在することが分かります。

 
ORF1aの遺伝子配列を主体に考えると、WHCVすなわち新型コロナウイルスはSARS様コロナウイルスの一番上に書かれています。

 下にあるBat、あるいはBtはコウモリの略だと思います。真ん中くらいにあるCivetはジャコウネコのようです.。LYRa11というのはなんのことか分かりません。

 この論文でびっくりしたのが、SARS様コロナウイルスの数の多さでした。知らないのでこんなにあると知って世の中どうなってるのかと思いました^^;


 
ですのでご紹介いたしました。



コロナウイルスの系統樹
 その2  Dec.12,2020に追加

    この系統樹も2月3日に武漢の研究所がNatureに投稿した論文のものです。

 ここの研究所はSARS様コロナウイルスのなかでもコウモリのコロナウイルスに詳しい所長、Shi Zheng Liという方、
別名Bat womanがいる研究所です。

 左の系統樹を載せた理由はあまりありませんが、上記の系統樹とは違った表記ができると言うことを示したいために載せました。

 
赤丸がSARSウイルスですが、このグループは2種類しか載せていません。

 
オレンジの丸が、今回の新型コロナウイルスと遺伝子配列が90%以上似ていると言われている、キクガシラコウモリのSARS様コロナウイルスです。


 上記ではβコロナウイルスしか記載がありませんが、このグループはαコロナウイルスも記載しています。

 
 βコロナウイルスの下の方に、風邪のβコロナウイルスが2種類載っています。
Human CoV OC43というのと、Human CoV HKU1というウイルスが記載されています。


 この系統樹では、αコロナウイルスも記載されています。ここにも2種類の風邪のコロナウイルスが記載されています。Human CoV NL63
Human CoV 229Eです。


 
 
Human CoV NL63は下記にあるセクションにも出てきます。
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コロナウイルスのウイルス学的形態、性質

    ここで、コロナウイルスについて見てみましょう。  
    今回パンデミックを起こされた、新型コロナウイルスはβコロナウイルスに属しています。

 コロナウイルスはRNAウイルスの一つで、コロナウイルス科に属します。アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、デルタコロナウイルスが存在します。
 
    アルファコロナウイルスやベータコロナウイルスはヒトに感染しますが、ガンマやデルタコロナウイルスはヒトに感染しません。  
    ヒトに感染するコロナウイルスとしては新型コロナウイルスが世に出てくるまで、6種類のコロナウイルスがいると言われていました。
 
 いわゆる、
風邪のコロナウイルス4種類(αコロナウイルスが2種類、βコロナウイルスが2種類)、2002年に中国大陸を中心に発生したSARSウイルス、2012年に中東で限局して発生したMERSウイルスが存在しました。
 
    ウイルス学的にコロナウイルスはRNAウイルスの中では大きなウイルスで、大きなもので直径が120~160nmあります。

 HIVウイルスやエボラウイルスはかなり大きなウイルスですが、通常のRNAウイルスは20-60nmのものが多いです。

 
コロナウイルスはその遺伝子がプラス鎖の一本鎖RNAからなっており、形が球形で、特徴が粒子の表面にスパイクたんぱく(Sたんぱく)が多数突出しています。

 書き忘れましたが、ウイルスはいろんなタイプがあります。中心のヌクレオカプシドや遺伝子がむき出しのタイプに対し、コロナウイルスはエンベロープという脂質(=油類)(正確には糖タンパクも成分です)でできた膜がヌクレオカプシドや遺伝子を覆っています。このエンベロープはアルコールで溶けるので、コロナウイルスはアルコール消毒でウイルスとしての機能を停止します。

 
 
     
    上記のシェーマと、論文に記載されていた遺伝子配列の模式図Fig.1とを比べてみましょう。  
     
    コロナウイルスはそのスパイク部分が、ヒト等に感染する際に重要な役目を担います。

 Fig.1ではスパイク部分は茶色のORF(open reading frame)のすぐ右側にSたんぱく(S protein)の遺伝子が位置しています。

 上段の絵のコロナウイルスでは表面に見られる突起部分がSたんぱく(S protein)です。
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新型コロナウイルスのウイルス名は SARS-CoV-2

   新型コロナウイルスの感染症のことを、WHOはCOVID-19感染症と呼ぶことにしたのはご存知の通りです。
 WHOはこのような暗号めいた名称をこの病気の名称にしました。

 当初、これがウイルスの名前なのかと勘違いしていました。

 これはご存知のように、感染症の名前なのです

 じゃ~ウイルスはなんなの?

 調べてみると、英語の論文では2月以降、Natureの2通の論文以降、このウイルスのことをSARS-CoV-2あるいはSARS-CoV2と記載してあります。

 第1版 「新型コロナウイルス感染症 COVID-19 診療の手引き」 を3月17日に厚労省が我々医師のために公開しました。

 これはこの3月までの知見をまとめてあり、我々医師が参考にするにはきわめてまとまったマニュアルでした。


 
ところが、その診療の手引きにはちゃんと新型コロナウイルスがSARS-CoV-2と書いてあったのです。

 実際の文章は下記です。診療の手引きの4ページです。

 
 
     
    さて、ここまで読まれた方には、新型コロナウイルスというウイルスはSARS-CoV-2というウイルス名なのだと言うことがお分かりだと思います。  
   はて?SARS-CoV-2という名称にはどういう意味があるのでしょうか?

 日本の専門家はこれについてほとんど誰も言及していません。
 
   
  これを別の表現でお示しすると、

 SARSウイルスは正式にはSARS-CoVと表されます。
 
 一方、新型コロナウイルスは正式にはSARS-CoV-2と表現されます。

 すなわち、
新型コロナウイルスはSARSウイルスの親戚だったのです。

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SARSウイルスの感染症についての特徴

    では、次にSARSウイルスについて調べてみましょう。

 SARSウイルスはコロナウイルスですので、上記のコロナウイルスのウイルス学的特徴を持っています。
   
    SARSウイルスは2002年に、中華人民共和国の広東省で発生し、中国大陸をメインに、東南アジア、カナダ等に広がりました。
    
    SARSウイルス感染症は中国政府等の努力によって、運のよいことに、発生後半年くらいで終息しました。その後、研究室レベルで存在するだけで、完全に封じ込められています。
   SARSウイルスに関して、大学の微生物学の最新の教科書を手に入れましたが、たったの19行程度しか記載がありません。
    それによると、
 感染経路は飛沫および接触感染が主体である。致死率は条件により異なるが、全体として約9.6%(2003年9月)と推計されている。

 臨床経過:潜伏期は2~
10日(平均5日)である。突然のインフルエンザ様症状で発症することが多い。発病第2週頃には(非定型)肺炎へと進行し、咳嗽、呼吸困難が認められる。発症者の約80%は軽快するが、急速にARDS(急性呼吸窮迫症候群)へ進行し死亡する例もある。最大70%の患者が水様性下痢を発症するという報告もある。
    SARSウイルスに対して、もっと詳しい情報が欲しくなります。
    国立感染症研究所の情報をひらってみます。

・SARS-CoV流行の中心は院内感染であったこともあり、症例のほとんどは成人で小児の患者数は少ない。2003年5月末における中国のデータでは、罹患率は20〜29歳で最も高く、人口10万人当たり2.92、次いで40〜49歳(2.15)、30〜39歳(1.87)の若年成人に高く、50歳以上の 年齢群ではすべて1.8以下、10歳未満は0.16であった2)
発症者の約80%は軽快し、およそ20%が重症化したが、予後は年齢や基礎疾患の有無により異なっていた

・SARSの致死率は感染者の年齢、基礎疾患、感染経路、曝露したウイルスの量、国によって大きく異なる。全体としてはおよそ9.6%(2003年9月)と 推計されているが、24歳未満では1%未満、25〜44歳で6%、45〜64歳で15%、65歳以上で50%以上となっている。男性であること、基礎疾患 の存在も高致死率のリスク因子とされている。

無熱の発症や、細菌性の敗血症または肺炎の併発のような非定型的な発症の仕方が、高齢者における問題点として特に取り上げられている。一般にこの年齢層 は、免疫力の低下や基礎疾患を伴っていることが多く、他の年齢層より頻繁に医療施設を利用するなど、院内感染伝播の事例の発生につながっている。また、小児におけるSARSの 報告頻度は低く、12歳未満では咳嗽、鼻汁のみなど、より軽症なことが多い。妊娠中のSARS感染は、妊娠初期では流産の、妊娠後期では母体の死亡の増加 につながる例のあることが報告されている。
   

 国立感染症研究所の記載を見ても、思った以上に大したことが書かれていません。

 
 SARS-CoVによる感染症は中華人民共和国内で5000人程度の感染者しかないのと、他国では感染者の数が少ないので、今回のSARS-CoV-2による感染者の臨床症状とは観察の度合いが違うのではないかという印象があります。
   
   


SARSウイルスの感染症についての特徴 その2

   上記のSARSウイルス感染症の特徴ではさっぱりSARSについてわかりませんので、論文等に書いてある情報を流用したいと思います。  
   SARSウイルスに関して、国立感染症研究所ウイルス第3部の田口文広氏の論文がかなり参考になります。ネットで検索すると見ることができます。

 
この論文の気になるところを抜粋してみます。
 
    コロナウイルスゲノムが約30キロベース (kb)の巨大RNAであることが、ゲノム解析、reverse geneticsの進展を遅らせた。ウイルスゲノムは、研究開始当初はせいぜい15kb位だと想像されていたが、研究が進むにつれ30 kbであることが判明し、多くのコロナウイルス研究者を驚かせた。ゲノムの巨大性のために、全ゲノムを用いたreverse geneticsが出来るようになったのもつい最近である(5)。SARS-CoVでは、既に米国のBasicらによって、infectious cDNAが作製され、ウイルス遺伝子の操作が可能になった。  
   論文の2ページの終わりから3ページの初めにかけて、上記が記載されています。

 SARSウイルスはとても巨大なウイルスなのでゲノム解析が難しかったこと、Basicらのテクニックでウイルスの遺伝子の操作が簡単になったというのがとても気になるところです。

 
    SARSウイルスのゲノムはウイルス発見後1か月以内に全遺伝子配列が決定できた。さらに、SARSウイルスが増殖できる細胞が容易に見つかっており、ウイルス学的に多くの知見が得られた。と書かれています。
 
 大方の方がご存知のように、
SARS-CoVのウイルスの受容体はアンギオテンシン変換酵素2(angiotensin converting enzyme2=ACE2)であると2003年にNatureに投稿されています。

 
この論文ではかなりウイルスの感染機序等について細かなことが書かれていますが、今回のこのセクションにはあまり関係がないので省略します。

 この論文で一番気になったのが、次の文章です。


 
SARS-CoVはヒト以外にもサル、ネコ、フェレットやマウス、ラットなどにも感染する。

 
新型コロナウイルスが、ネコやイタチ、ミンクなどに感染したと報道されていて、人畜共通感染症なのかと恐れていましたが、SARSにも同様の感染形態が見られるとのことで、やはりSARS-CoV-2はSARS-CoVと同等なのだと思いました
 
   ネット等での情報からのSARSウイルス、SARSウイルス感染症についてまとめてみます。  
   << SARSウイルスのウイルス学的特徴 >>

 コロナウイルス科のβコロナウイルスに属し、遺伝子の大きさがSARS-CoV Tor2では29,751bpの大きさを持つ。
 
 他のコロナウイルスと同様に、プラス鎖の1本差RNAウイルスで表面にスパイク状の突起を多数持ち、この部位が感染に大きな役割を担っている。

 感染の際のヒトでの受容体は、アンギオテンシン変換酵素2(angiotensin converting enzyme2=ACE2)である。

 ACE2を受容体とするウイルスは、現在知られているウイルスとしてはSARS-CoV,ヒトコロナウイルス NL63が知られている。
新たに新型コロナウイルスが加わりました。

 
ACE2は1996年頃(この年が一番早い論文のようです)見つけられた酵素で、ヒトの心臓と腸管での生理的作用はわかっているものの、他の部位での生理的作用は解明されていません。アンギオテンシン変換酵素(ACE)とは異なる物質で、現在降圧剤として使用されているACE阻害薬は効果がありません。
 
 


 << SARSウイルスの臨床症状 >>

 感染は飛沫感染、接触感染によると言われています。

 潜伏期間は2日から10日。

 風邪様の症状が生じます。発熱(微熱も含む)、咳嗽、だるさ、関節痛、頭痛、息苦しさなどを認めます。他に全例ではないものの、下痢や寒気が生じるとされています。ウイルス性肺炎になる場合もある。約80%は軽快する。


 上記の論文から、SARSウイルスもネコやフェレット、サル、マウス、ラットなどに感染することが分かります。
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新型コロナウイルスのヒトへの感染の受容体について
Dec.21,2020 

    上記SARSウイルスの特徴より、SARSウイルスはヒトのACE2を受容体としてヒトへの感染が成立します。

 同様に、新型コロナウイルス、以下SARS-CoV-2もヒトに感染する際の受容体としてACE2を利用することが当初から言われています。

 ウイルスの種類は、この地球上に存在するウイルスはいったいどれだけの種類があるのでしょう?

 その無数にあるウイルスのなかで、ヒトに感染するウイルスは現在知られているだけでは、思ったより限られています。



 その受容体を調べてみると、ウイルス毎に違っています。にもかかわらず、今回の新型コロナウイルスは、
SARS-CoVと同一の受容体を利用しています。他にαコロナウイルスの、ヒトコロナウイルスNL63もACE2を受容体としています。

 なんだか不思議な印象です。今は他にも受容体があると言われています。



 さらにSARS-CoV-2ではSARS-CoVには認められなかった、フリン様開裂部位をもっており、このメカニズムがウイルスの病原性に関与している可能性があると言われているようでした。でも詳しいことは解明されていないようです。

 これに関して下記の論文に書かれています。

 そのタイトルは、『The spike glycoprotein of the new coronavirus 2019-nCoV contains a furin like cleavage site absent in CoV of the same clade』です。

 かなり早期の2020年の2月10日にオンラインで公表されています。フランスのマルセイユ大学、カナダのモントリオール大学からの出典です。この当時はまだSARS-CoV-2とは記載されていません。



 論文の要約には下記のように記されています。
 
 「Despite a high similarity with the genome sequence of SARS-CoV and SARS-like CoVs, we identified a peculiar furin-like cleavage site in the Spike protein of the 2019-nCoV, lacking in the other SARS-like CoVs.」

 これを訳してみますと、「遺伝子配列がSARS-CoVやSARS様コロナウイルスに非常に似ているにもかかわらず、我々は新型コロナウイルスが、他のSARS様コロナウイルスでは認められない、スパイクプロテイン部分のフリン様開離部位を同定した。」とあります。

 この論文は思った以上に読みにくいものです。先ほどようやく読み終えました。


 あるブロガーの方がこの論文を紹介しており、それによると、この論文では、エイズウイルスの様にエンベロープの糖タンパクの遺伝子が分離されるように、新型コロナウイルスのスパイク蛋白部分が分離するということが強調されていました。だからエイズみたいだというようなニュアンスで、私はそうなのだと思い込んでいました。

 実際に読んでみると、そういったことは特に強調されていませんでした。

 
◆この論文によると、SARSウイルスには開裂部位がないが、他のコロナウイルスやH5N1といった鳥インフルエンザウイルス、HIVウイルス(=エイズウイルス)などは、受容体にくっついて感染する際に、エンベロープのある部分でフリン様の開裂をおこして感染すると書いていあるのみでした。HIVウイルスはエンベロープの糖タンパク部分で2つに分かれますが、他の開裂するウイルスではそれぞれの開裂する部位で分かれると言うだけの話のようでした。誇張された意見をそのままうのみにしていたのが分かりました。

 感染性についても、論文では、フリン様の開裂が起こって受容体にくっつくからと言って、特にSARSウイルスより感染力が高いわけでもなく、感染性については言及がありませんでした。

 
 
結局、この論文からは、SARS-CoV-2はスパイク部分の開裂が起こると言うのがSARS-CoVとの感染の際の唯一の違いだということがわかりました。
 
 
    ◆話をACE2受容体にもどします。

 
COVID-19感染症は非常に多彩な臨床症状をヒトに起こします。SARS感染症はCOVID-19感染症には似ていますが、異なる点があります。

 報道等で言われている臨床症状、病態で、まず
嗅覚障害味覚障害がSARS感染症では報告されていません。

 また
髄膜炎脳炎(日本での報告はありませんがイギリスで報告されています)といった症状もSARS感染症では報告されていません。血管炎が起こり血栓症が起こる話も報告されていません。無症状の方に心筋炎が起こるという話も初めてです。

 なぜこのようなことが起こるかと思うのですが、これは全てACE2が絡んでいます。

 
妄想ですが、上記のフリン様開裂による感染経路がかかわっているのではないかと思われてなりません。

 
ある論文に以下のことが書かれていました。2021年1月5日追加

 The biophysical and structural evidence showed that the SARS-CoV-2 S-protein bound ACE2 with higher affinity than the SARS-CoV S-protein (approximately 10- to 20-fold) 
Science, 367 (2020), pp. 1260-1263
 訳すと、SARS-CoV-2のSタンパクがACE2と結合する親和性はSARS-CoVのSタンパクの親和性の約10倍から20倍高い。


 ☆SARS-CoV-2の感染力がSARS-CoVより高い理由がそのうち分かってきそうです。
 
 
 
    ◆ACE2がヒトのどの臓器に存在するのか、それについて書いてある論文がないか探していました。

 数日前に見つけました。まだ完全には読んでいませんが、ACE2の局在が分かればいいのでご紹介いたします。

 
Molecular system bioligy 16:e9610 2020

 下の図も上記論文からのものです。
 
     
   上図はACE2が存在する臓器を示しています。字が小さいのでわかりにくいです。

 
<ACE2を含む臓器>
 眼瞼結膜、口腔粘膜、鼻粘膜、鼻咽頭、肺、食道、胃、小腸、大腸、皮膚、リンパ節、胸腺、骨髄、脾臓、肝臓、腎臓、膀胱、脳など、
 と多岐にわたりますが、これら臓器全ての障害はまだ報告されていません。肺より心臓の方がACE2は多いのですが、心筋障害の程度は肺炎より少ない印象なのが不思議です。

 とりあえず、自然界が作ったウイルスの中ではとても厄介なウイルスです。

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中国人研究者が言うようにSARS-CoV-2は
キクガシラコウモリあるいはマレーセンザンコウに感染する
SARS様コロナウイルスが起源なのか?

Dec.13,2020に追加 

 2020年2月   2月3日にデリバリーされたNatureの2通の論文によると、コウモリのSARS様コロナウイルスであるZC45とZXC21はキクガシラコウモリに感染するSARS様コロナウイルスと言われています。これらがSARS-CoV-2と96%近く遺伝子配列が同じだと言われており、このウイルスが起源だと考えられているようです。  
    さて、このキクガシラコウモリどこに生息しているかを調べてみると、武漢市から1380㎞も離れた雲南省の洞窟に住んでいるのが分かります。どうやって1300㎞以上の距離をコウモリが移動したのか?ありえない話です!

 とある情報では、このキクガシラコウモリは、武漢の研究所で実験動物として使用されていたようです。これに対して、武漢の研究所のShi Zheng Li氏は、生物化学兵器の可能性を否定しています(でも誰も石氏の主張を信じないかもしれません)。

 
 
 
 7月頃Natureに投稿された論文がありました。香港大学と北京大学が行った研究です。

 12月11日にネットで手に入れて、読みました。

 
これによるとインドネシアや東南アジア等に生息する、現在は絶対危惧種と言われている、マレーセンザンコウに感染しているSARS様コロナウイルスがSARS-CoV-2に97-99%遺伝子配列が似ていると報告しています

 
マレーセンザンコウは中国本土にはいないのね!?
下の写真はマレーセンザンコウ(ロイター/アフロから写真を利用させてもらいました)
 
     

 
 このNatureのタイトルは、「Identifying SARS-CoV-2-related coronaviruses in Malayan pangolins」です。
 この論文もかなり早期の
2月7日にNatureに投稿され、3月27日にonline公開されています。
 雑誌に乗ったのは遅く7月です。

 
Nature  Vol 583 9 July 2020

 この論文を読んでみると、いきなりセンザンコウの話が出て、そのセンザンコウも2017-18年に密輸された個体の死んだ組織を使用しています。不思議なのが他の動物を全く見ていないのです。

 
センザンコウが初めからこうだったというのが分かっていた可能性もある論文です。

 最終的にはセンザンコウに感染していたSARS様コロナウイルスがSARS-CoV-2と97-99%の遺伝子配列の一致があったというものです。

 ただし、この論文の中に、不思議な文章があります。

 原文を載せてみます。


 
It has previously been noted that members of the subgenus Sarbecovirus have experienced widespread recombination.

 In support of this, a recombination analysis (Fig. 2) revealed that bat coronaviruses ZC45 and ZXC21 are probably recombinants, containing genome fragments derived from multiple SARS-CoV-related lineages (genome regions 2, 5 and 7) as well as SARS-CoV-2-related lineages, including segments from pangolin coronaviruses (regions 1, 3, 4, 6 and 8)

 
これらの文章を意訳してみます。

 
SARS様コロナウイルスの亜種のあるものは、広く遺伝子組み換えが行われていることが知られている。

これを支持するため、遺伝子組み換えの分析をすると、コウモリのコロナウイルスZC45とZXC21は遺伝子が組み換えられたものだと分かった。含まれる遺伝子の断片は多岐に渡り SARS-CoV-2同様に、SARS-CoVのものであり(genome region 2,5,7)、マレーセンザンコウの コロナウイルスのものである(regions 1,3,4,6,8)。


 
これはいったい何を意図してるものなのでしょう?

 
想像するに、SARS-CoV-2は遺伝子組み換え等で作られたものではないが、そのもとになった可能性のある、コウモリのSARS様コロナウイルスZC45やZXC21はマンメイドのウイルスである。
マレーセンザンコウより見つけられたウイルスはよりSARS-CoV-2に似ており、これが起源と考えられる。
 マレーセンザンコウは中国本土には生息しない、だから今回の新型コロナウイルスはC国がその発生には一切かかわっていない。
 
 
なんてことを言いたかったのかもしれない。
 
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SARS-CoV-2と風邪のコロナウイルス4種の遺伝子配列の違い
Dec.19,2020追加 

   ◆新型コロナウイルスが普通の風邪のウイルスだと思っている方もおられるようです。

 風邪のコロナウイルスは4種類知られています。そのうちNL63はSARS感染症が終息した翌年の2004年に遺伝子配列が分かった新しいウイルスです。
 Natureのコロナウイルスの系統樹をもう一度下記にお見せします

 
     
   
 ◆この系統樹にはαコロナウイルスとβコロナウイルスのみが記載されています。αコロナウイルスの赤丸のHuman CoV NL63Human CoV 229E、βコロナウイルスの赤丸のHuman CoV OC43Human CoV HKU1が該当します。

 ◆下記にこれらの風邪のコロナウイルスとSARSウイルス、SARS-CoV2ウイルスの遺伝子配列の模式図を比べてみましょう。
 
 
     
     
   ◆絵の雰囲気が違うので分かりづらいですが、上の図では上から4つの風邪のコロナウイルスとSARS-CoVの遺伝子配列が明らかに違うのが分かります上の図の1列と2列目がαコロナウイルス3列と4列目がβコロナウイルスです
 下の図ではWHCVはSARS-CoV-2のことですので、SARS-CoV-2はSARS-CoV Tor2ととても似ているのが分かります。
クリックすると大きな図が見れます。新しいウインドウは元に戻りませんのでブラウザで消してください。

 ◆すなわち風邪のコロナウイルスは新型コロナウイルスとは別物だと言うのが、おわかりになったと思います。

 
蛇足:私は風邪のコロナウイルスの遺伝子配列が分かっていたとはこのパンデミックが起こるまで知りませんでした。
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イギリスでの変異株の詳細
Dec.23,2020

   武漢で当初認められたSARS-CoV-2は変異されてヨーロッパに持ち込まれたと陰謀論では言われています。

 その変異はスパイク蛋白部分の614番の遺伝子がアスパルギン酸からグリシンに変異して、感染する度合いが強まったと言われていました。
(この見解に対し、11月25日のNatureのNature Communicationsという雑誌で、D614Gの変異株が、特に変異前の株より感染が広まる度合いが高い、という証拠はないとの見解が書かれていました。)すなわちD614Gなる変異株が陰謀論ではヨーロッパに持ち込まれたということでしたが、これも否定されたことになります。
(令和2年12月31日に青色以降の文章を追加しました)Nature Communications volume 11, Article number: 5986 (2020)

 SARS-CoV-2は月に2-3個の遺伝子が変異すると言われています。

 今月に入り、イギリスで変異株が現れ、感染力が強くなっているとの報道がありました。

 調べてみるとその変異についての詳細な報告がありました。


 要約の一部だけ訳してみました。

 訳はだいたいがわかればいいやと、適当に訳しましたので、超意訳という感じです。
 
    

Preliminary genomic characterisation of an emergent SARS-CoV-2 lineage in the UK defined by a novel set of spike mutations

Report written by: Andrew Rambaut1, Nick Loman2, Oliver Pybus3, Wendy Barclay4, Jeff Barrett5, Alesandro Carabelli6, Tom Connor7, Tom Peacock4, David L Robertson8, Erik Volz4, on behalf of COVID-19 Genomics Consortium UK (CoG-UK)9.

  1. University of Edinburgh
  2. University of Birmingham
  3. University of Oxford
  4. Imperial College London
  5. Wellcome Trust Sanger Institute
  6. University of Cambridge
  7. Cardiff University
  8. MRC-University of Glasgow Centre for Virus Research
  9. https://www.cogconsortium.uk 1.6k

Summary

Recently a distinct phylogenetic cluster (named lineage B.1.1.7) was detected within the COG-UK surveillance dataset. This cluster has been growing rapidly over the past 4 weeks and since been observed in other UK locations, indicating further spread.

B.1.1.7と呼ばれる系統の系統樹でのウイルスの群がCOG-UKサーベイランスデータで指摘されている。この集団は過去4週間で急激に広まっており、UKに限局して観察されている。

Several aspects of this cluster are noteworthy for epidemiological and biological reasons and we report preliminary findings below. In summary:
The B.1.1.7 lineage accounts for an increasing proportion of cases in parts of England. The number of B.1.1.7 cases, and the number of regions reporting B.1.1.7 infections, are growing.
B.1.1.7 has an unusually large number of genetic changes, particularly in the spike protein.

B.1.1.7というウイルスの群は、スパイク蛋白の部位に、異常なほど多数の遺伝子変異を起こしている

Three of these mutations have potential biological effects that have been described previously to varying extents:

以下の3つの変異がメインの変異である

  • Mutation N501Y is one of six key contact residues within the receptor-binding domain (RBD) and has been identified as increasing binding affinity to human and murine ACE2.
  • The spike deletion 69-70del has been described in the context of evasion to the human immune response but has also occurred a number of times in association with other RBD changes.
  • Mutation P681H is immediately adjacent to the furin cleavage site, a known location of biological significance.

The rapid growth of this lineage indicates the need for enhanced genomic and epidemiological surveillance worldwide and laboratory investigations of antigenicity and infectivity.

 1) スパイク部分の遺伝子の501番がもともとのアスパルギン(=N)がチロシン(=Y)に変異している。これはRBD(レセプターバインディングドメイン)の中にある、6個のkey contact残基の一つである。これはひとやネズミのACE2へ接触する際の親和性を高めることが分かっている。

 2)スパイク部分には69-70近いアミノ酸の欠失がある。これはヒトの免疫に対する反応を回避する部位として解釈されている。しかし他のRBDの変化に関連して何度でも変異が起こると言われている。
 3)681番の変異はプロリン(=P)がヒスチジン(=H)に変異したものである。これはフリン開裂部位と直接隣り合っており、生物学的に重要な位置と知られている。

 
   
下記は全ての変異部位です。

Table 1 | Non-synonymous mutations and deletions inferred to occur on the branch leading to lineage B.1.1.7 lineage.

gene

nucleotide

amino acid

ORF1ab

C3267T

T1001I

C5388A

A1708D

T6954C

I2230T

11288-11296 deletion

SGF 3675-3677 deletion

spike

21765-21770 deletion

HV 69-70 deletion

21991-21993 deletion

Y144 deletion

A23063T

N501Y

C23271A

A570D

C23604A

P681H

C23709T

T716I

T24506G

S982A

G24914C

D1118H

Orf8

C27972T

Q27stop

G28048T

R52I

A28111G

Y73C

N

28280 GAT->CTA

D3L

C28977T

S235F

 
    この速報の論文には、小児が成人と同等の感染をするといった臨床的な話については書かれていません。ウイルスの変異についてのみ書かれています。
  報道ではイギリスの高官が今回の変異で感染力が高まっているとの見解を示されていましたが、2020年のDec.25に公開された論文によると、同様にこの変異株も感染力が高まっているとはいえるかどうかは断言できない可能性が出てきました。
  Nature Communications volume 11, Article number: 5986 (2020)
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SARSウイルスとコウモリのSARS様コロナウイルスの遺伝子の合体

2015年12月  話を今から5年前の2015年にさかのぼってみます。
 2015年の12月にアメリカ合衆国のノースカロライナ大学の研究グループと中華人民共和国の湖北省武漢市の研究所所長Shi Zheng Liらの共同研究 グループが論文を発表しました。


 
そのタイトルは次の通りです。『A SARS-like cluster of circulating bat coronaviruses shows potential for human emergence』 Nature Medicinevolume 21pages15081513(2015)
 
 この論文は極めて専門的で我々素人が理解するには大変ですが、SARSウイルス の遺伝子とコウモリのSARS様コロナウイルスの遺伝子を合体させた論文です。いわゆる キリンの頭をライオンに付けたようなサイボーグ作製とでもいえるような話です。

 こうした違うウイルスの遺伝子同士が組み合わされてできたウイルスは、キメラウイルスと言われるようです。

 
この頃このようなキメラウイルスを作成するのが流行っていたのか、日本の東京大学医科学研の河岡義裕教授も強毒性の鳥インフルエンザH5N1の遺伝子と新型インフルエンザH1N1の遺伝子を合体させ、ヒト-ヒト感染が可能な強毒性のH5N1を作成させています。論文にはそのキメラウイルスの作り方も書いてあったようで、倫理的に問題があると論文は削除された可能性があり、見当たりません。


 このような遺伝子操作は2020年のノーベル化学賞で受賞した技術等を用いたもので、比較的簡単に作ることができる操作です。

 
ここで、20世紀以降にに発見されたウイルス感染症を見てみましょう。

 
 
 
 図に認められるようにたくさんのウイルス感染症が認められたのが分かります。
 この中で、ヒトがかかわったとうわさされているウイルスは、HIVウイルス、Ebolaウイルス、2009年の新型インフルエンザウイルス(H1N1)、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2がその可能性があるとうわさされています。

 
  実際はどうなのか?調べようがない噂話ではありますが、事実を知りたいところです。  Top